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【バイヤー日記 #05 前編】消える商品、続く商品。その別れ道とは?

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目次

nohacoのおつまみを監修している「おつまみ専門店 平光商店」。

5代目店主 大野さんは「おつまみバイヤー」として全国各地の上質でおいしいおつまみを日々開拓しています。

この【バイヤー日記】は、大野さんにおつまみとの出会いやこぼれ話を語ってもらうシリーズです。おつまみ開発の舞台裏や、生産者さんのお話など、ここでしか聞けない興味深いお話をたくさん教えていただきます。

▼おつまみ専門店 平光商店とは?
「ご褒美おつまみサブスクnohaco」の監修店。1918年に手焼き煎餅の店として創業。戦後、岐阜市柳ヶ瀬商店街を中心とした花柳界に高級米菓を卸し始めた事をきっかけに、現在のおつまみ専門店へと繋がりました。その名残からあられや海苔巻き、おせんべいといった伝統的な米菓から進化系おつまみまで数多く扱っています。
▶ 平光商店の目利きについて詳しく知る

食料品の「売れ筋」と「死に筋」

日々新しい商品が登場する一方、惜しくも消えていく商品もあります。

「売れ筋」の商品に対し、消えていく商品は「死に筋」と呼ばれ、短期間のうちに容赦なく棚から姿を消します。

実は、おつまみ業界では何十年も続いた商品がここ5年ほどの間に次々と姿を消す現象が起こっているのです。

先代、先々代から受け継いだ思い出深い商品や幼い頃から知っている取引先が次々に倒産、廃業していくという事象が多くありました。

今回は、

前編で「このままでは消えてしまいそう」「終売が確定してしまった商品」などの要因、

後編で「上手に時代の波を乗り越えている商品」について、バイヤー目線で分析します。

要因その1:高齢化と後継者不足

これが最も多くの事例に共通する、主な要因です。

昔ながらの食品加工業というのはご高齢の方にとっては大変な力仕事です。

私も古びた作業場で海老せんを揚げる仕事を経験しましたが、揚げ油は一斗缶で16kg、生地に至っては1ケース25kgもあります。

揚げた生地が入った重い鉄製の網を引き上げ、油脂分離機に移すのは大変な重労働で、20代の時ですら腰を痛めてしまいました。

古い工場は重い、暑い、機能的でない、同じ事の繰り返し作業、という環境が多く、若手が寄り付かない要因にもなっています。

要因その2:製造機器の老朽化

人間だけでなく製造機器の老朽化も大問題です。

機器といってもどちらかというと「道具」といった趣のものばかり。

センサーや計器を備えたものとは程遠く、それらを職人の技と感覚で代替してきました。

古い工場の機械は、高度経済成長期や終戦直後に稼働したものもあります。

それから約半世紀を迎え、作り手の高齢化とともに耐用年数を迎えたということでしょう。

主要な機器が壊れた場合、それらの多くは入手困難な特注品、つまり一点ものであることが多く、直せたとしても高額な修理費がかかります。

「高いお金を出して修理してまでは・・・」と、機器の故障が会社を畳む切っ掛けになることも多くありました。

要因その3:人手不足

労働人口の減少から「人手不足倒産」が増えているといわれていますが、おつまみ業界でもかなり前からこの問題が取り沙汰されています。

数年前から「海苔巻き工程に人が集まらない」という話をよく耳にするようになりました。

海苔巻きごときで、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、大判の煎餅に海苔を巻くのとはわけが違うのです。

高級米菓は薄く繊細で、大きくかつ厚みのある海苔で全体をきっちりと覆います。

さらにおつまみ業界の海苔巻きは一口サイズ以下が基本。直径0.4cm、長さ1.2cmの俵型という極小海苔巻きもあり、すべて手作業です。

それらを一斗缶いっぱいになるまで、かつ醤油が乾かないうちに手早く作り続けるという途方もない作業が必要になるのです。

海苔巻きに限らず、昔ながらの加工食品の現場からどんどん人がいなくなりつつある現状は危機的状況です。

要因その4:商売気の無さ

良い物を作る方たちは総じて職人気質の方たちが多く、「売る」ことより「作る」ことに対し強い志向性を持っていらっしゃいます。

薄利多売に走ることなく、製品のクオリティに重きを置く。商業的な成功はその後についてくる、という考えです。

これは製品に対する自信の表れであり、事実、そうした職人の皆さんの努力によって素晴らしい商品がたくさん生まれてきました。

このような高品質なおつまみは、高級バーのカウンターやラウンジのチャームとしてニーズがありましたが、そういったお店は、特に地方都市で激減しています。

そこで商品の魅力を広め、新しい売り先を探すのがバイヤーの務めではあるのですが…。

厳しい現状に喘ぐ製造者さんのお話を聞くと、本当に申し訳ない気持ちになり、なんとか新しい打開策はないかと思考を巡らす毎日です。

要因その5:原材料不足

もはや原材料に不安がない商品の方が少ないのではないかと思うほど、ここ10年ほどで原料事情が急激に悪化しています。

長雨や日照不足による落花生、海藻類、ジャガイモ(澱粉)の不足。

逆に高温と渇水による、レーズンやアーモンド、カカオ、オリーブなどの不作。

異常気象による問題が世界規模で起こっています。

自然だけでなく人口増加や戦争、領土問題による小麦や魚介類全般の供給不足も深刻です。

食料不足の影響は、たとえ地球の裏側の出来事でも、無関係ではいられません。

不足すると代替品を求めます。今度はその代替品が不足し、原料が足りないため作れない商品がでてくるという負の連鎖が始まるのです。

値上げさえすれば解決するという問題でもなく、どの商品にもこの「原材料不足」の危機がいつ訪れるかわからない。とても不安な要因です。

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100年続く、おつまみ販売店として出来ることをこれからも。

おつまみ専門店「平光商店」は創業から100年を超え、取引先の中にはそれ以上に長く続いている会社もあります。

どの製造者さんも、様々な変化に立ち向かいながら、素晴らしい製品を提供し続けてくれました。今後もより強固な協力体制を築き、美味しいおつまみを末永く扱っていければと思います。

次回は、古くから販売が続いている商品が、どのように時代の変化に適応して存続しているのか、その特徴に迫ります。

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